SSSS.GRIDMANの感想をちょいウザめに語ります。語らせてください。
「SSSS.GRIDMAN」の感想をまとめてみた
まず最初に定義しておきたいが『SSSS.GRIDMAN』は2018年のアニメ、『電光超人グリッドマン』は1993年に放映された特撮ドラマ。ただ「GRIDMAN」と記載するとどっちの話だか分からなくなるので、文章で書く場合は区別したい。
私にはSSSS.GRIDMAN(以下GRIDMAN)について、下記の感想を抱いた。
『GRIDMAN』を平成オタの葬送として眺めた - シロクマの屑籠
GRIDMANは長谷川圭一によるウルトラマンネクサスのリターンマッチに見えた。
2019/01/22 13:21
GRIDMANは長谷川圭一によるウルトラマンネクサスのリターンマッチに見えた。
これを解説するにはまずはウルトラマンネクサスについて語らねばならない。
ウルトラマンネクサス
現在Amazonプライムでは観られず。
『ウルトラマンコスモス』終了後から2年ぶりに放送開始されたテレビシリーズのウルトラマン。
当初の全50話前後の予定が全37話に短縮、事実上の打ち切りだった。予算不足や企画内容の問題も指摘されているが、リアルタイムで視聴していた身としてはシナリオもキツいものがあった。正直言うと、私にとってはネクサスが平成シリーズの中では最も残念なウルトラマンだったと言わざるを得ない。異論は認める。
地球を守る防衛チームの隊員がすぐ人に銃を向けるとか、ウルトラマンに変身して戦うのが主人公の青年じゃないとかそういうことを置いといて、私が一番キツかったのは「伏線としての謎をたくさん出しておいて回収していかないこと」だった。
当時、番組のWebサイトには「これまでに登場した謎」というページまで作って、回収されていない伏線が箇条書きにされていた。が、ストーリーが進んで謎が回収されないことが確定すると、箇条書きに解明された謎がそのページに書き込まれることなく、消滅していた。謎など無かったことにされたのだ。
例えば、イラストレーターの吉良沢君が何故唐突に光の巨人に攻撃命令を出したのか、結局分からず終いだった。
シナリオ的には回収する予定があったのに打ち切られたのか、回収する予定はなく視聴者にあれこれ想像してもらいたかったのかは定かではない。いずれにせよ、打ち切りという結果はシナリオライターにとって最も残念な結果だったと思われる。
そして私の中では脚本家:長谷川圭一の代表作はウルトラマンネクサスだった。
電光超人グリッドマン
Amazonプライムでも観られるのでGRIDMANを語るなら5話くらいまでは観て欲しい。
カーンデジファーが中学生の武史を操り怪獣を生み出し「コンピュータワールド」を経由して現実世界を襲う。それを中学生の男女「直人・一平・ゆか」の三人組がハイパーエージェントのグリッドマンと協力して現実世界を守るストーリー。
武史はゆかに密かに思いを寄せていて隙あらばラブレターを渡そうとするのだが、とことん上手く行かず、とにかく屈折していて友達もいないのでカーンデジファーに操られて怪獣を生み出し襲わせてしまうのだ。
最終回までに武史の恋心は実るのか…は実際に観て確かめて頂きたい。私には電光超人グリッドマンのテーマの1つは「友情」だと読めた。
電光超人グリッドマンで活躍した4人の子役はそれぞれの代表作が「電光超人グリッドマン」となり、その後の大活躍が無かったのは一抹の寂しさもある。
SSSS.GRIDMAN
まだAmazonプライムで視聴可能。
先述のウルトラマンネクサスの、あの長谷川圭一がメインライターだったため、伏線の多いシナリオにワクワクしながらも「これは回収されない伏線かもしれない」という疑念も抱きながら毎週観ていた。
GRIDMANは電光超人グリッドマンを下敷きにしているが、原作として忠実にストーリーをなぞっている訳では無い。第一話でのアカネのセリフ「武士は食わねど高笑い(元は一平ののセリフ)」とかスペシャルドッグとかは電光超人グリッドマン第五話のオマージュであるから、シナリオ執筆に当たって電光超人グリッドマンの要所を見直し、リスペクトしつつ小ネタを挟んでいったことは想像に容易い。
GRIDMANもネクサス同様、謎の伏線がたくさん登場し、その中で回収されたものもあればされなかったものある。例えば、裕太が記憶を無くす前に六花に何を言ったのかは結局分からず終いだった。
ただネクサスの時とは違い、GRIDMANでは視聴者があれこれ想像して語ってくれていた。
最終回に実写パートが来るのはエヴァンゲリオンの劇場版を彷彿とする方も多いようだが、私は伝説巨神イデオン劇場版を思い出した。当時、劇場で観て「なんのこっちゃ?」とポカーンとしたが、今観ると「こうして今の地球の海に生命が生まれました」という映像だったと解釈できた(これもまた色々な解釈があるだろうが)。
話をGRIDMANに戻そう。
最終回の実写パートが「電光超人グリッドマンのゆか」だとGRIDMANでアカネが一平のセリフを喋っていたこととか色々なことがしっくりきてしまう。
だが、多分そういう脚本意図があったのではない…と思いたい。ゆかのその後=アカネだったらあまりにも切なすぎる。
GRIDMANのテーマの1つは「同盟」
GRIDMANのテーマについて「アカネの救済」だの「アカネの心の補完」だのと言われているが、私はそのような感想はなぜかまるで抱かなかった。
感想は視聴者ごとに自由であっていい。
私はGRIDMANは「同盟」をテーマの1つとして語っていると読めた。なにしろOP曲のタイトルからして「UNION」だ。 AllianceではなくUNION。
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100回聴いた。
電脳超人グリッドマンでは「友情」だったテーマが、GRIDMANでは友情ほど強くも弱くない、共通の目的を達成するために同じ行動をとることを約束した集まりである「同盟」であったように感じた。六花とアカネについては友情を語っていたが、どうも希薄に感じられた。最終的にはグリッドマン同盟がアカネを変えた。
テーマはひと言では言えないもの
そもそもまあ何というか、すぐ「この作品のテーマをひと言で言うと〜」と語りたがるのもどうかと思う。テーマをひと言で語るならTwitterで150文字で語れば良い。膨大な予算と時間をかけて1つの作品を作るのに、テーマはひと言では語れない。1つの作品には大抵多くのテーマがあるのだ。テーマがたった1つでもたくさんあって散漫でも残念な作品になる。
物語を作るのに、ひと言で言えるテーマを決める必要は全くない。
長谷川圭一のリターンマッチ
長谷川圭一は、ウルトラマンネクサスでも視聴者が謎やテーマを語り合う状況を夢見たのではないかと思う。たくさんの謎と回収されないままの伏線、シナリオライターの頭の中では設定が全てできていて、その一部を視聴者に見せるタイプの脚本に見えた。(無論、そういうのではなく行き当たりばったりにシナリオを書いてしまう脚本家も存在する。半分、受信料返せ。)
それがGRIDMANでは見事に狙い通りになったと思う。視聴者が謎や伏線を語り合い、大いに話題になった。賛否両論あるだろうが、それがある時点で成功だ。話題にならない作品は賛否両論すら起こらない。
これで長谷川圭一の代表作は間違いなくSSSS.GRIDMANとなった。
長谷川圭一の次回作も期待と疑念を膨らませながら伏線を回収したりしなかったりして視聴したいものである。
六花…のつもりです…。
ウルトラマン80あたりをリアルタイムで観てた世代のウザ語りでした。ご静聴ありがとうございました。
それではまた・・・さよならいち!・∀・)ノ